現在では臨床検査の一部を外部委託したり、環境検査を外部の検査機関に依頼したりすることが一般的になっています。環境検査では検査の頻度が法律により決められていたり、検査機関が登録制だったりすることも少なくありません。検体を預かって検査を行い、結果を報告する検査機関には、検査の精度を高めて品質を保証することが求められます。検査の品質は精密性と正確性で評価されます。精密とは再現性が高いことであり、正確とは測定結果が真の値に近いことです。保健科学東日本は検査機関としての品質保証に取り組んでいます。
保健科学東日本は企業などの依頼により臨床検査や環境検査を行う会社です。検査は検体の受領からチェック、検査測定、結果の報告までさまざまなプロセスを経て行われ、中には人為的ミスの起こりやすい作業もあります。保健科学東日本ではそのすべてを正確に行うため作業手順を統一化しており、作業によっては作業日誌に担当者と内容を記録してヒューマンエラー防止に努めています。
品質保証の方法は、内部精度管理と外部制度管理の大きく2つにわけられます。内部精度管理とは、内部で精密性と正確性を向上させるための取り組みです。内部精度管理には、管理試料を用いる方法と実際のデータを用いる方法があります。保健科学東日本では管理試料を用いた統計学的精度管理としてXbar-Rs-R管理、リアルタイム精度管理を行っており、短期から長期までの変動を管理しています。実際のデータを用いる方法としては、臨床検査で患者ごとに過去の検査結果との比較をすることで、検査の見落としを防止しています。また、厚生労働省による検査機関の精度確保に関する基準に基づき、定期的な内部ブラインド調査も行っています。
検査室の内部で行う内部精度管理に対し、外部精度管理とは複数の施設で同一試料の検査を行い、結果を分析して精度を評価するものです。近年では第三者機関に委託して検査結果の精度を確認するコントロールサーベイや、2つ以上の異なる視点で確認するクロスチェックを行うところも増えてきました。保健科学東日本では医師会や臨床衛生検査技師会など複数の外部調査に参加しており、検査品質の確認を行っています。外部調査への参加が難しい検査項目については半年に1度のクロスチェックを行って、品質保証に努めています。保健科学東日本では、これらの取り組みについても第3者機関による監査を受け、認定資格を取得しています。